子供の頃、真っ赤な消防車のカッコよさに憧れ、その思いのまま大きくなった私は「困っている人は、俺が助ける」、「自分の街は、俺が守る」そんな虚栄心と勢いだけで何の迷いもなく消防という職業を選んだ。
若い頃は、消防車だけではなく救急車にも乗っていて、多い日には10回以上、時には一度も署に戻らず、引揚中に2度3度と連続して出場することも度々で、そんなある日、私の身体から排泄物が世に出ようとしているタイミングと、もう少しで署に帰れるという時に3度目の出場指令が重なり、トイレに駆け込む時機を逸してしまった事がありました。 空腹時に腹の中に入れられないことは我慢できても、腹の中から出てくるものを我慢することは、いくら屈強な消防士でも不可能、人を助ける前に、自分が潰れてしまう。
私は隊長に自分が危機的状況にあることを伝え、現場到着して真っ先に傷病者宅に入り、玄関で「救急隊です。すいませんトイレ貸してください」と大声で叫び、何とか間に合い事なきを得ましたが、その家族からはなんとも頼りない救急隊員に見えたと思います。
今は、救急車に乗ることはありませんが、若い職員には「ストレスと排泄物は溜めるな」と指導しています。
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